弾きやすくしたい方や弦の高さを変えたい方に向けてエレキギターのネック側からのトラスロッドの回し方を解説していきます。弦高がどのくらいが望ましいかも解説していますので参考にしたい方は下にスクロールしてください。
この記事でわかる事
トラスロッドの回し方
この記事の目次
トラスロッドを回す効果
トラスロッドはこんな効果が
- 弦高を下げる事が出来る
- 弦高を上げる事が出来る
- 弦のビリつきをなくすことが出来る
トラスロッドを回すことで更にエレキギターをしっかりとメンテナンスして上達の礎にしましょう!
トラスロッドを回す下準備
ネックを見て回す方向を確かめる
まずは下記の画像をみてどのようにネックが曲がっているかを調べましょう。
順反り
逆反り
まずは下記のリンクでギターが順反りか逆反りかを判断しましょう。どちらか分かっている方はそのまま下へスクロールしてください。
トラスロッド調整に必要なもの
必要なモノ
- 六角レンチ
- プラスドライバー
トラスロッドの回し方
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1弦を緩める
トラスロッドは弦を張ったままでも調整する事が出来ます。張力が変わりますので弦は音がならなくなる程度に緩めて起きましょう。
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2ネックのプレートを外す
通常の+ドライバーがあればOK
ドライバーでプレートを外します。
プレートを外して露出した金具部分がトラスロッドです。
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3トラスロッドを調整する
六角レンチでトラスロッドを回します。図のように反時計回りで順反りが改善されます。逆反りの場合は時計回りです。
ここに注意
※はじめは90℃以上は回さないようにしておきましょう。
ネックになじんでから更に回す場合は継続しますが、1日程の間を空けてからの方が望ましいです。
step
4完成
あとはプレートと弦を巻きなおして完成です。終わったら弦高がどのくらいになったかを下の表で確認しましょう。
トラスロッド調整後の弦高の基準
12フレットのフレットの先から弦の下部までの距離を測ります。
エレキギター弦高の基準値
弦 | 高さ |
1 | 1.6mm |
6 | 1.98mm |
※daddario社が提示する基準値
トラスロッドで解決するギターの悩み
トラスロッドの調整にたどり着いた人は上記の様な悩みを持った人が多いのではないでしょうか。
「更にギターが弾きやすくなればいいな」
「ネックの反りを直したいな」
弦が押さえやすくなる!
音が出るようになる!
トラスロッドを回す方向に関しては冒頭で解説しています。以降は注意点やトラスロッドについて知って更にギターの知識を増やしたい人におすすめです。
トラスロッドとは何か?
トラスロッドは鉄の棒
そもそもトラスロッドとはなにか。トラスロッドとはネックに埋め込まれている鉄の棒です。ギターに入っているのは大体がシングルアクションと呼ばれる1本だけのタイプのもので、かの有名なGibson社による特許が取得され
ポイント
アジャスタブル(適応性のある)トラスロッドと呼ばれます。
ここではこの大多数を占めるシングルアクションタイプのトラスロッドについて書きます。
シングルタイプトラスロッドとは?
ネックの中に内蔵されている器具
この鉄の棒はネックの中にあらかじめU字に曲がった状態で埋め込まれていてこれを引っ張って伸ばしたりすることでネックの状態を変化させています。トラスロッドはネックの補強に大きな効果を発揮している部品で、ネックの形状変化による楽器への影響に大きな役割を担っています。どの様にしてこれがネックの状態に影響を与えるかを考察していきます。
トラスロッドが曲がる仕組み
弛んだ糸を引っ張るイメージ
例えば、ネックが順反りに曲がった状態があるとします。順反り状態のネックでU字のトラスロッドを引っ張ります。
すると、U字が引っ張られ底が持ち上がります。
この持ち上がる力を利用してトラスロッドは順反りに対抗する力をかけています。
トラスロッドは記憶形状?!
トラスロッドは形状記憶ではない
「トラスロッドが形状記憶機能の様な役割を持っていて、勝手にネックをまっすぐにする」
「バネが入っていてそれが弦の張力に対抗している」
という意見もありましたが、バネや形状記憶を採用しているトラスロッドは今のところ発売されていません。
トラスロッドを反対に回す意味はある?
反対向きに回してもあまり意味がない
ちなみに、逆方向である逆反り→順反りでのトラスロッドの役割についてですが、このシングルアクションとは、名前の通り
「単一活動の」
という意味で、引っ張ることによる順反りへの効果のみの期待しか見込めません。要するに逆方向である逆反りにはほとんど効果がありません(逆反り補正に効果のあるトラスロッドはあります)。
ギターのネックが元に戻ろうとする
ですが、トラスロッドによる張力を緩めてあげると弦による30kg~50kgの張力がかかっていますので順反りに戻ろうとする力が加わってあたかもトラスロッドによって形状が変わったと誤解しやすいのです。
回す時はくれぐれも慎重に
トラスロッドの仕組みは前述した内容の通り、下手にいじるとギターが壊れる可能性もあるのでしっかり手順を追って慎重に調整してみよう
トラスロッドを回すならまずは六角レンチ
トラスロッドの回し方ですが、ほとんどのトラスロッドはドライバー或いは六角レンチで回します。アコースティックギターの場合は5㎜規格の六角レンチが一般的に使用されることが多く、使用する六角レンチはギター(楽器)専用ではなくても問題はありません。Martinなど特異な物を除いて下記のリンクの様なセットのレンチを買っておけばサイズが合うのが見つかります。
トラスロッドに必要な作業道具
トラスロッドはギターを所持していると年に数回はメンテとして調整する事があります。以下の道具は一つは所持しておきましょう。
六角レンチセット
トラスロッドを回す時に必須のアイテム
ストリングワインダーセット
手で巻くより遥かに効率的で楽器にとっての負担も軽減できるアイテム
まとめ
トラスロッドについてまとめましたが、前提として主にシングルアクションタイプの エレキギターのトラスロッドについて書いています。
ネック側から回すものもあれば2本回さなければならない楽器もあり、ここで全てを網羅することはしませんが、ご自身の所持している楽器のトラスロッドのタイプを把握することはその楽器を保管・管理する上では重要です。
初心者でこれから初めてトラスロッドをいじろうと考えている方は、ネックの状態を簡易的に変化させる事ができる利点がある代わりにに回しすぎによる材質の劣化等それなりのリスクが有ることを認識した上で挑戦してみることをお勧めいたします。