この記事の目次
ほとんどの人が知らないキーの数
まずこの記事を書いている上で説明しなければならないのはビクターウッテンとアンソニーウェリントンです。今回はビクターウッテンがアンソニーから教授されたと話している下記の動画を基にして解説を行っていきます。ビクターも間違えていたと話しているキーの数ですが、同じくキーの数を12個と考えている人は必見の考え方です。
ビクターウッテンとアンソニーウェリントン
ビクターウッテンは言わずと知れた世界的なベーシストで超絶プレーヤーです。日本にも度々来日していて、日本人にも根強い人気を誇っています。一流プレーヤーである彼ですが、同時に一流の音楽講師でもあり、ワークショップの開催等精力的に音楽教育を行なっています。今回の記事ですが、そんなビクターが同じく世界的なベースプレイヤーで講師でもあるアンソニーウェリントンと共に開講していたワークショップで彼自身が衝撃的だった事について触れています。その内容をまとめます。
調はいくつあるか?
アドリブ練習などを行う場合スケールの練習を全ての調で練習していますでしょうか?ある程度スケール練習をしている人は全ての調で行なっていると答えると思います。
そこで問題です。ではキーは全部で何個あるでしょうか?
キーは全部で12個
多くの人が12個と答えます。1オクターブに含まれるのは12音であり、その全てを1度と仮定してメジャーキーを構成すると12個になります。
この考え方は理論的ですがいい答えですが、実は間違っています。
キーは全部で24個
実は12個のキーの考え方はメジャーのみを考えている場合が多くマイナーについては忘れています。メジャーキーとマイナーキーを合わせると24個になります。
ではキーは全てで24個になるのでしょうか?12個あるという答えより更に理論的になりましたが、まだ間違っています。すべてのメジャーキーには関連したマイナーキーがあります。
モードとスケールはキーとは別
ドリアンやフリジアンとかを入れたら何個?
【アイオニアン、ドリアンやミクソリディアン】など、この記事に辿り着いた賢明な読者様にはギターのあいうえおを提示されている様なものかと思いますが、ギターをこれから練習してスケールを発展させていくと多くの場合たどり着くのがこのアイオニアンやドリアン。実はこれはキーではなくモードと呼ばれるものです。モードとキーは別物になりますのでこういったモード形スケールを入れてもキーの数は変わりません。ですのこの時点ではメジャーとマイナーの数を入れた上記で提示した24個から数は変わりません。
ハーモニックマイナーとかスケールを入れたら何個?
ではハーモニックマイナーはどうでしょうか?ハーモニックマイナーはスケールでありキーではありません。スケールは同じ音の羅列でも様々な呼び方があります。琉球スケールやエジプトスケール、ブルーススケールなど数えたらキリがありません。こういったものをキーと勘違いする人も多いですが、キースケールを基にしたスケールになりますので、別物になります。要するに上記の24個にあるスケールにハーモニックマイナー等のスケールを足してもキーの数は変わりません。
結局何個?キーは24個ではない
ここまで説明してきましたが、キーはシンプルにメジャーかマイナーのみです。メジャーの数だけマイナーがありますのでメジャーの数を数えて倍にすればキーの個数が分かります。では何個になるのでしょうか?実際に全てのキーを書き出していきます。
まずは、シャープがあるキーを数えていきます。
キー(Major) | シャープの数 |
C | 0 |
G | 1 |
D | 2 |
A | 3 |
E | 4 |
B | 5 |
F# | 6 |
C# | 7 |
では次にフラットがあるキーを数えていきます。
キー(Major) | フラットの数 |
F | 1 |
B♭ | 2 |
E♭ | 3 |
A♭ | 4 |
D♭ | 5 |
G♭ | 6 |
C♭ | 7 |
ここまでで15個になります。
全てのメジャーキーのマイナーを考えるとキーは合計30個になります。
C♭とBの違いやC#とD♭の違いF#とG♭の違い
30個のキーを見てみると
C♭とB
C♯とD♭
F#とG♭
この3つの組み合わせは表記の違いこそありますが、実音が同じだと気がつくと思います。違いはあるのかといいますと無いです。キーに纏わる表記が複雑になるかならないか程度の違いで音自体は同じです。ですが、どちらも記譜法としてはそれぞれ存在するキーになりますのでビクターは明言していませんが、今回は特に区別して書いています。
結論:キーは12個ではなく30個
上記の理由でキーは12個ではない事が分かったと思います。C♭とBの様に同音のキーを区別しながら練習する事は意味を見出す事が難しいかもしれませんが、メジャーとマイナーは決定的に違いますので今まで12個だと思ってスケール等をトレーニングしていた方は意識してみてはいかがでしょう?