この記事の目次
なぜ弦高を測るのか?その重要性とは
弦高は非常に重要な要素です。弦高とは、ギターの指板と弦との間の距離を指します。この距離が適切でないと、演奏性や音質に大きな影響を与えるため、定期的にチェックすべきなのです。
演奏のしやすさ(プレイアビリティ)
低すぎる弦高
弦が指板に近すぎると、フレットに触れてビビリ音が発生したり、ミュートされた音になってしまいます。また、指圧が少なくても音が出てしまうため、意図しない音を出しやすくなります。
高すぎる弦高
弦が高すぎると、指に余計な力が必要となり、演奏が難しくなります。特にコードを押さえるときや速いパッセージを演奏する際に顕著で、長時間の演奏では手の疲労を増加させます。
音質への影響
音の明瞭さ
適切な弦高は、弦が振動するスペースを確保し、クリアで豊かな音色を生み出します。弦高が適切でない場合、音がこもったり、鋭さが失われることがあります。
サステイン
弦高が高ければより長く弦が振動しやすく、逆に低すぎると振動が抑制され、サステインが短くなる傾向があります。
ネックの状態
弦高は、ギターのネックの反り具合を示すバロメーターでもあります。異常に高いまたは低い弦高は、ネックの調整が必要であることを示している可能性があります。定期的に弦高を測ることで、ネックの異常を見つけやすくなり、長期的にはギターの寿命を延ばすことにもつながります。
個人の演奏スタイルへの対応
プレイヤーによって、弦高の好みは大きく異なります。例えば、フィンガースタイルのプレイヤーは低めの弦高を好むことが多く、ロックやブルースで力強いストロークを多用するプレイヤーはやや高めの設定を好むこともあります。自分の演奏スタイルに合わせて弦高を調整することで、より快適に、そして表現豊かに演奏することが可能になります。
ジャンル | 好まれる弦高 |
---|---|
クラシックギター | 比較的高め。12フレットで約3.5mmから4.5mm程度 |
フォーク/アコースティックギター (スチール弦) | やや低めから中程度。12フレットで低音側が約2.5mmから3mm、高音側で約1.5mmから2mm |
ブルース/ロック | やや高め。低音側で2.5mmから3.5mm、高音側で1.5mmから2.5mm程度。 |
ジャズ(エレキ) | 比較的低め。低音側で約1.5mmから2mm、高音側で1mmから1.5mm。 |
メタル/ハードロック(エレキ) | 低め。低音側で約1.5mmから2mm、高音側で1mmから1.5mm。 |
弦高の測定と調整は、アコースティックギターのメンテナンスにおいて不可欠な作業です。これにより、自分の演奏スタイルに最適化されたギターを手に入れることができ、音質を保ちつつ、プレイヤビリティを最大限に引き出すことができます。また、ギターの健康状態を把握するためにも、定期的なチェックは欠かせません。わずかな調整が、演奏体験を大幅に向上させることができるのです。
用意するもの:必要な道具はこれだけ!
必要なもの
- 定規(0.5mm規格のものがあれば更によし)
弦高は基本的に小数点第2の位までを測ります。2.5mmとか2.2mmといった具合です。一般的な定規では1mm単位でしか図ることが出来ないと思いますが、まずは家にある一般的な定規で試してみましょう。またちゃんと図りたい方はページ下にある便利道具で標準的な定規をご紹介しています。
測定手順:ステップバイステップで解説
さっそくですが、測り方をやっていきます。
測り方
step
16弦12フレットでフレットの上から弦の下側までを測る
弦の真ん中やフレットの下側とか指板からは測らないようにしましょう。上の画像だとちょうど2mmくらいになっているのが分かると思います。
step
21弦12フレットを測る
画像の弦高は1.8くらいかなと目星を付けられます。
チェックリスト
- 定規がななめにならないようにする
- 弦を押さないように測る
弦高の理想値:アコースティックギターの基準
弦高を測るときは1弦側と6弦側をはかりますが、標準的な値は12フレットで以下の通りになります。
弦 | 基準弦高 |
---|---|
1 | 2.0 |
6 | 2.0~2.5 |
弦高の測り方や標準は時代と共に変わってきましたが、現在もっとも売れているメーカーの標準は上記の通りになります。
一般的に6弦12フレット時点で3mmとか4mmある人は弦高が高いと考えます。
D'Addario String Action Gaugeの細かい使い方は下にリンクを貼っておきます。
測定結果に基づく調整方法:トラスロッドを調整
測ってみて自分のギターの弦高が低すぎる!あるいは高すぎる!と感じた人が多かったのではないでしょうか?そんな人は自分である程度ギターの弦高を調整できます!それが以下でご紹介する方法です。
トラスロッド調整
トラスロッド調整とは、エレクトリックギターやアコースティックギターのネックの反りを修正するための作業です。ギターのネックには通常、トラスロッドという金属の棒が埋め込まれており、これを調整することでネックの曲がり具合を変えることができます。
トラスロッド調整のやり方
6角レンチさえあれば誰でも簡単に出来る調整方法なので興味がある人は下記にリンクに詳しいやり方を記載しているので参考にしてみてください。
弦高調整のメリットと注意点
メリット
演奏のしやすさの向上
弦高を自分に合わせて調整することで、フィンガリングやコードの押さえやすさが劇的に変わります。特に初心者にとっては、低めの弦高は指にかかる負担を減らし、練習の継続を助けます。
音の明瞭度
適切な弦高は、フレットとのバランスを保つことでビビリ音を防ぎ、クリアなサウンドを保つことができます。また、高すぎる弦高はサスティーンを減少させることがありますが、適度な高さにすることで良い音の伸びを得られます。
プレイスタイルに合わせたカスタマイズ
スライドギターを主にプレイする人はやや高め、速弾きをする人は低めなど、自分のプレイスタイルに合わせて弦高をセットアップすることで、技術を最大限に引き出すことができます。
intonation(音程)の改善
弦高が適切でないと、特に高いフレットでの音程が狂うことがあります。弦高を調整することで、全体を通しての音程の正確性が向上します。
注意点
ネックへの負担
極端な弦高の設定は、ギターのネックに不必要なストレスを与える可能性があります。特に、低すぎる弦高はネックの順反りを、逆に高すぎる弦高は逆反りを促進します。これらはトラスロッドの調整範囲を超えると修復が難しくなります。
アクションの変化による弾き心地の変化
弦高を大幅に変えると、今まで慣れていた感覚が変わり、特に初めのうちは違和感を感じるかもしれません。徐々に調整し、自分にとって最適なポイントを見つけることが重要です。
ビビリ音とフレットの摩耗
弦高を低くしすぎると、弦がフレットに触れてビビリ音が発生します。また、長期間低い弦高を維持すると、特定のフレットが早期に摩耗する恐れがあります。
調整の難しさ
弦高の調整は、トラスロッド、サドル、ナットなど複数の要素に関わります。一か所を調整すると全体のバランスに影響を及ぼすため、全体を見て調整する必要があります。知識がないまま調整すると、ギターを傷つける可能性もあるので、不安がある場合は専門家に依頼するのが無難です。
弦の張力と音質
弦高は弦の張力にも影響を与え、結果として音質にも変化をもたらします。高すぎると音が硬くなり、低すぎると音がブ厚くなりすぎることがあります。自分の求める音質を考えながら調整することが求められます。 弦高の調整はギターの演奏性と音質に直接影響を及ぼす重要なセットアップですが、上記のような注意点を踏まえて行うことが大切です。自分のスキルに自信がない場合は、プロのリペアマンに相談することをお勧めします。
一つは持っておきたいおすすめの道具
今回測り方の画像で使用しているギターの弦高を測るための便利な道具がこちらになります。
弦高の他にギターにまつわる様々なメンテナンスに利用出来て万能の定規になります。サイズも名刺サイズなので持ち運びもしやすく質感もメタリックで豪華です。お探しの方は下からどうぞ。
まとめ:定期的な弦高チェックのススメ
定期的なギター弦高チェックのススメ ギターの演奏性と音質を維持するためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。その中でも特に弦高(ストリング・アクション)のチェックは、プレイヤーの演奏とギターの音質に直接影響を与える重要なポイントです。
なぜ弦高チェックが必要か?
演奏性の向上
弦高が高すぎると指に余計な力が必要となり、演奏が困難になります。逆に低すぎるとビビリ音が発生しやすくなります。適切な弦高は、快適な演奏を保証します。
音質の保持
弦高が適切でないと、音の明瞭さやサスティーンに影響が出ます。特にアコースティックギターでは、弦高は音の projection にも関わります。
ギターへの負担軽減
適正な弦高は、ギターのネックにかかるストレスを均衡させ、長期的なネックの反りや歪みを防ぎます。 #### メリット
カスタマイズ性
自分のプレイスタイルに合わせて弦高を調整することで、技術を最大限に発揮できます。例えば、速弾きをするなら低め、スライドギターなら高めなど。
音程の安定
正しい弦高は、特に高いフレットでの音程の正確性を保つ助けとなります。
注意点
調整の難しさ
一か所を調整すると全体のバランスが変わるため、全ての要素(トラスロッド、サドル、ナット)を考慮に入れた調整が必要です。知識がないまま行うと、ギターを傷つける可能性があります。
弦の張力と音質の変化
弦高を変えることで弦の張力が変わり、音質にも変化が生じます。高すぎると硬い音になり、低すぎるとブ厚い音になることがあります。
ビビリ音とフレットの摩耗
極端に低い弦高はビビリ音を引き起こし、フレットの摩耗を早めることがあります。
まとめ
定期的に弦高をチェックし、適切に調整することは、ギターを最高の状態で保つための基本的なメンテナンスです。初心者にとっては少しハードルが高いかもしれませんが、自分で行うにせよ、プロに依頼するにせよ、その重要性は変わりません。自分に合った弦高を見つけ、定期的にチェックすることで、ギターの寿命を延ばし、常にベストな演奏感をキープしましょう。もし不安があるなら、楽器店やリペアマンに相談することをお勧めします。それは長い目で見て、あなたの音楽生活を豊かにすることでしょう。