この記事の目次
コンプレッサーって何?
コンプレッサーとは
音量のダイナミクスをより抑制する事で音にまとまりを持たせる役割を持ちます。
コンプレッションとは
コンプレッサーの効果の事であり、エフェクターやプラグインなどで使用する事が出来て、ミックス作業などでは全てのパートにコンプレッションをかける程音響においては重要な役割を持っています。
ポイント
音の大きい箇所を小さくして、音を均すことが出来る
音楽制作やライブパフォーマンスで広く使われるエフェクトで、特にギタリストにとって重要なツールです。音の「ピーク」(非常に大きな音)を抑え、全体の音量をコントロールすることで、ミックスや演奏のバランスを整えます。イメージとしては、音量の「山と谷」をなだらかにする装置です。
コンプレッサーの役割と効果
ギターの音をプロ並みに磨きたい、録音やライブで安定したサウンドを作りたい——そんなときに欠かせないのがコンプレッサーです。コンプレッサーは、音のダイナミクス(音量の幅)を整え、ギターやボーカルをより聴きやすく、力強くするツールです。
チェックリスト
-
音量のバラつきを整える
強く弾いた弦や軽いタッチの音量差を滑らかに。 -
サステインを増やす
ディストーションギターの音の伸びを強化。 -
音抜けを良くする
バンドミックスでギターが埋もれないように。
コンプレッサーの役割はずばり音のまとめ。一般的に流通している音源はエンジニアなどが職人技で仕上げているので耳触りのいいものが多いですが、エンジニアが編集をしない音源やライブなどでは音量のダイナミクスレンジが広くて場合によっては長時間聴いていると疲れてしまいます。
ライブの良さはそのダイナミクスレンジによるものこそと言えなくもないですが、ライブでさえPAでコンプレッションをかけている場合が多いです。
例:ブルースのアルペジオで、ピッキングの強弱が目立つ場合、コンプレッサーは音量を整えて滑らかな演奏に仕上げます。
クリーンサウンドを滑らかに
クリーンギターのコード弾きやアルペジオでは、弦ごとの音量差が目立ちがち。コンプレッサーはこれを均一にし、プロのようなクリアで安定した音を作ります。
例として
「ヤッホー!」にコンプをかけると?
実際にどういった効果があるかというと、例えば「ヤッホー!」と叫ぶとします。「ヤ」「ッ」「ホー!」で分けた時に当然それぞれ音量には差が出来ます。「ヤ」と「ホー!」が大きいのに対して「ッ」の部分は音量が小さいです。
⇒「ヤ」と「ホー!」を潰して音を均す
ここにコンプレッサーをかけると、この「ヤ」と「ホー!」の部分をある一定の音量を超えたらおさえつけて音量を小さくします。小さくした上で減衰した分の音量を全体の音量レベルを上げてあげると「ヤ」と「ホー!」は減衰し、「ッ」が持ち上がります。すると「ヤ」と「ホー!」に対する「ッ」の音量の差に開きが少なくなります。
実際「ヤッホー!」にコンプレッサーをかけて音量を馴らす事はほとんどないと思いますが、バンドなどで各パートのレンジを鳴らしてあげる事でバランスをとりやすくなり、全体のまとまって綺麗に聴こえるようになります。
ディストーションやソロのサステイン強化
音のダイナミクスを抑えて小さな音を持ち上げることで、音が減衰するのを遅らせます。ディストーションギターやソロでは、弦の振動が弱まると音量が急に落ちますが、コンプレッサーがその減衰を「補う」ように音量をキープ。結果、音が長く伸び(サステインが強化)、力強く聴こえます。
ディストーションギターやリードギターでは、コンプレッサーが音の「伸び」を増やし、ソロを力強く聴かせます。
ライブでの音抜け向上
音量のダイナミクスを整え、音を安定させてミックス内で際立たせます。バンド演奏では、ドラムやベースの大きな音にギターが埋もれがちですが、コンプレッサーが音量のピークを抑え、弱い音を持ち上げることで、ギターの存在感をキープ。結果、音がクリアに「抜け」、聴衆に届きやすくなります。
ポイント
バンド演奏では、ドラムやベースにギターが埋もれがち。コンプレッサーは音量のピークを抑えつつ、全体を前に押し出すことで、ギターを際立たせます。
コンプレッサーの主要パラメーターをマスターしよう
コンプレッサーは、ギターのサウンドをプロ並みに磨くための強力なツールですが、その効果を最大限に引き出すには、パラメーターの意味を理解することが必須です。この記事では、コンプレッサーの主要用語(Threshold、Ratio、Attack、Release、Knee、Gain)を初心者向けに解説し、ギターでの使い方を具体的に紹介します。
コンプレッサーも様々な種類がありますが、一般的にコンプレッションする時に使用されるノブなどの解説をしていきます。
スレッショルド(Threshold)
Thresholdは、コンプレッサーが圧縮を始める音量の「しきい値」です。このレベルを超える音が抑えられ、超えない音はそのまま残ります。
ギターでの役割
- 強く弾いたギターのピーク(例:ディストーションの大きな音)を抑える。
- 弱い音(例:軽いアルペジオ)を相対的に目立たせる。
使い方の例
設定:Thresholdを-20dBにすると、-20dB以上の音が圧縮され、音量が均一に。スレッショルドは減衰開始地点になります。この音量を超えたら自動的に音量を下げてねというポイントを設定するメーターになります。
ニー(Née)
Kneeは、Threshold付近での圧縮のかかり方の「滑らかさ」を示します。
Hard Knee:圧縮が急に始まり、明確な制御。
Soft Knee:圧縮が徐々に始まり、自然な響き。
ギターでの役割
- Hard Knee:ディストーションやソロで、パンチのある音。
- Soft Knee:クリーンギターや繊細なフレーズで、圧縮が目立たない。
使い方の例
ライブ:Hard Kneeで、ギターの音抜けを強調。
録音:Soft Kneeで、クリーンギターを滑らかに。
ニーはスレッショルド地点からいきなり減衰させるのではなく地点よりも前から緩やかに減衰を開始させる効果があります。ニーがないとスレッショルドの地点からいきなり減衰が始まりますが、減衰を緩やかにするのに使われます。
アタック(Attack)
Attackは、Thresholdを超えた音を検知してから圧縮が始まるまでの「時間」です。ミリ秒(ms)単位で設定。
ギターでの役割
- 速いAttack(例:1〜5ms):ピークを即座に抑え、タイトな音に。
- 遅いAttack(例:20ms):ピッキングの立ち上がりを残し、自然な響きに。
使い方の例
ディストーション:Attack 5msで、鋭いアタックを保ちつつサステインを強化。
クリーン:Attack 15msで、コードのニュアンスを活かす。
ライブ:中程度(10ms)がバンドミックスで音抜けを良くする。
アタックはかかり始める時間を設定する事が出来ます。これが遅すぎると音が発生してから音が鳴り終わった後にかかってしまいます。また、アタックがある事で原音が少し混ざるので原音が鳴った後にコンプレッションがかかる効果を得る事が出来ます。
リリース(Release)
Releaseは、圧縮が終わって音が元のレベルに戻るまでの「時間」です。短いとシャープ、長めだと滑らかに。
ギターでの役割
- 短いRelease(例:20ms):タイトでパンチのある音。
- 長いRelease(例:200ms):サステインを伸ばし、滑らかな響き。
使い方の例
ソロ:Release 150msで、ディストーションの音が長く伸びる。
クリーン:Release 80msで、自然なアルペジオに。
注意:長すぎると次のフレーズに影響し、音が「モコモコ」する場合も。
リリースはコンプレッションがかかってからコンプレッション効果がなくなるまでの時間になります。これが長すぎると次の音にコンプレッションがかかってしまったりしますが、適度に長さを決める事で狙った音に必要な長さのコンプレッションをかける事が出来ます。
レシオ(Ratio)
Ratioは、Thresholdを超えた音をどれくらい抑えるかの「圧縮の強さ」を示します。例:4:1なら、Thresholdを超えた音を1/4に圧縮。
ギターでの役割
- 高いRatio(例:8:1)は音を強く抑え、均一なサウンドに。
- 低いRatio(例:2:1)は自然なダイナミクスを残す。
使い方の例
クリーンギター:Ratio 3:1で、アルペジオの音量を滑らかに。
ソロ:Ratio 5:1で、ディストーションのサステインを強化。
注意:10:1以上はリミッターに近く、音が平坦になるので慎重に。
レシオは入力音に対しての出力音の比率になります。1:1の場合は1入力された音に対して1の音量が出力されますので、コンプレッションが全くかかっていない状態になります。2:1の場合は2の音が入力されたら1だけ出力されます。同じ様に2:1の時は10の音が入力されたら5だけ出力されます。
ゲイン(Gain)
Gainは、圧縮で抑えた音量を補うための「出力レベル調整」です。圧縮後の音を大きくしてミックスに馴染ませます。
ギターでの役割
- 圧縮で失われた音量を補い、ギターを前に押し出す。
- ライブや録音で、音の存在感を強化。
使い方の例
Boss CS-3ペダル:Levelを高め(2時)に設定し、音抜けを向上。
DAW:Waves CLA-76でGainを5dB上げ、ソロをミックスで目立たせる。
注意:上げすぎるとノイズも増幅するので、バランスを調整。
ゲインはメイクアップゲイン(make up gain)と呼ばれることもありますが、コンプレッションで失った分の全体の音量上げる役割を持っています。
コンプレッションされた音をもう一度上げる事に疑問を持つ人もいるかもしれませんが、コンプレッションによって失われたのは
入力が特に比較的に大きかった部分でスレッショルドを超えてしまった部分のみですので結果的に小さい音が底上げされ、大きすぎる音は小さくなり、全体のダイナミクスがまとまります。
最適なコンプレッサーの種類と選び方
ギターに最適なコンプレッサーの種類
コンプレッサーには主に4つの種類があり、ギターでの特性や用途が異なります。以下で詳しく見ていきましょう。
特徴 | ギターとの相性 | 例 | 用途 | |
---|---|---|---|---|
VCAコンプレッサー | Voltage-Controlled Amplifier(電圧制御増幅)。クリアで正確な圧縮が得意。現代的で透明なサウンド | ギターでの効果:クリーンギターやライブでの安定した音量制御に最適。音色の変化が少なく、ニュートラル。 | Distressor(スタジオ向け) Waves CLA-76(プラグイン)など | 用途録音でのクリーンギターや、ライブでの音量安定。 |
FETコンプレッサー | Field-Effect Transistor(電界効果トランジスタ)。パンチのある攻撃的なサウンドで、速い反応 | ディストーションやソロのサステインを強化し、音を前に押し出す。ロックやブルースに最適。 | Universal Audio 1176 | 録音やライブでのリードギター、力強いサウンドが必要な場面。 |
Opticalコンプレッサー | 光センサーを使ったコンプ。滑らかで暖かいサウンドが特徴。反応はゆったりめ。 | クリーンギターやアルペジオに柔らかい圧縮を加え、繊細な響きを強調。ポップやアコースティックに。 | Teletronix LA-2A Waves CLA-2A | スタジオ録音でのクリーンギターや、ソフトなサウンドを求める場合 |
ペダルコンプレッサー | ギタリスト向けに設計されたコンパクトなエフェクトペダル。シンプルな操作でライブや練習に最適。 | クリーン、ディストーション、ライブでの音抜け向上など、オールラウンドに活躍。 | ・Boss CS-3 ・Compression Sustainer ・MXR Dyna Comp ・Keeley Compressor Plus | ライブパフォーマンスやホームスタジオでの簡単な圧縮 |
コンプレッサーの選び方:5つのポイント
step
1ライブか録音か?
ライブ
ペダルコンプ(Boss CS-3、MXR Dyna Comp)が手軽で即戦力。音抜けとサステイン強化に。
録音
プラグイン(Waves CLA-76、CLA-2A)やハードウェア(1176、LA-2A)で、細かい調整が可能。
step
2クリーンかディストーションか?
クリーン
Optical(LA-2A)や
VCA(Distressor)で滑らかな圧縮。
ディストーション/ソロ
FET(1176)やペダル(MXR Dyna Comp)でパンチとサステイン。
step
3高価なハードか手頃なプラグインか?
低予算
ペダル(Boss CS-3:約$100)やプラグイン(Waves CLA-76:セールで$30〜)。
中〜高予算
ハードウェア(Universal Audio 1176:$2000以上)や高品質ペダル(Keeley Compressor Plus:約$150)。
step
4シンプルか多機能か?
シンプル
ペダル(MXR Dyna Comp)は
2〜3ノブで直感的に操作。
多機能
VCA(Distressor)やプラグイン(CLA-76)は細かく調整可能。
step
5音色の好み:透明か暖かいか?
透明
VCA(Distressor)は音色変化が少なく、
原音を活かす。
暖かい
Optical(LA-2A)やFET(1176)はビンテージ感を追加。
注意!コンプレッサー選びの落とし穴
コンプレッサーは、ギターのサウンドを滑らかにしたり、ソロのサステインを強化したり、ライブで音抜けを良くしたりする強力なツールです。でも、種類や設定が多すぎて、間違った選択をしてしまうことも。「買ったけど使えない…」なんて後悔を避けるため、コンプレッサー選びでよくある「落とし穴」とその回避法を解説します。ギタリストのための実践的な注意点をチェックして、あなたにぴったりのコンプレッサーを見つけましょう!
落とし穴1:用途ミスマッチ
コンプレッサーの種類(VCA、FET、Optical、ペダル)は、それぞれ得意な用途が異なります。ライブで使うつもりがスタジオ向けのモデルを買ったり、クリーンギター用なのにソロ向けを選んだりすると、期待した効果が得られません。
落とし穴2:過度な圧縮を求める
音をガッチリ整えたい!」と、Ratioが高すぎる(例:10:1)コンプレッサーや強めの設定を選ぶと、ギターのダイナミクス(演奏の強弱)が失われ、平坦で「死んだ」音に。ライブでは表現力が落ち、録音では不自然なサウンドに。
落とし穴3:ノイズ問題を見落とす
コンプレッサーは小さな音を持ち上げるため、弦の擦れ音、ピックアップのハムノイズ、アンプのヒスなども増幅。安価なペダルや低品質なプラグインでは、ノイズが目立つ場合があります。
落とし穴4:他のエフェクトとの相性を無視
コンプレッサーはエフェクトチェイン(例:コンプ→ディストーション→リバーブ)の順番や相性が重要。間違った配置や相性の悪い組み合わせを選ぶと、音がこもったり、効果が薄れたりします。
落とし穴5:試聴せずに購入する
コンプレッサーの音色や操作感は、実際に試さないとわかりません。レビューやスペックだけで購入すると、「思った音と違う」「設定が難しい」といった失敗に。
落とし穴6:予算だけで選ぶ
「安いから」と低価格のコンプレッサーを選ぶと、ノイズや耐久性の問題、音質の限界に直面。逆に、高価すぎるモデル(例:$2000のハードウェア)を買っても、初心者では使いこなせない場合も。
あなたにぴったりのコンプレッサー
VCA、FET、Optical、ペダル——それぞれのコンプレッサーには独特の魅力があり、ギターサウンドを次のレベルに引き上げます。ライブで音抜けを良くしたいならBoss CS-3、スタジオでクリーンを磨くならCLA-2A、ソロを強調するならCLA-76を試してみて。用途、予算、好みに合わせて選び、実際に音を試して自分に最適な一台を見つけてください!
ライブパフォーマンスでコンプレッサーを活かすコツ
ライブパフォーマンスで、ギターの音がドラムやベースに埋もれたり、音量が安定しなかったりした経験はありませんか?オーディオコンプレッサーは、音量を整え、音抜けを良くし、ソロを際立たせる強力なツールです。
この記事では、ライブでコンプレッサーを最大限に活かすためのコツを、ギタリスト向けに具体的に解説。ペダルや設定の選び方から、バンドミックスでの実践例まで、プロ並みのサウンドを手に入れる方法を紹介します!
ライブに最適なコンプレッサーを選ぼう!
ライブでは、操作が簡単で即戦力のコンプレッサーが求められます。以下のタイプがおすすめ:
フットペダルで使えるコンプレッサー!
特におすすめ!
チェックリスト
- 滑らかで自然な圧縮
- 幅広いサステイン調整
- 高い信号品質
- シンプルな操作性
- そしてプロの信頼性にあります
使用例
ライブでSustainを12時、Attackを10時に設定すると、ギターの音がバンドミックスでクリアに抜け、ソロのサステインが伸びる。
実際に使用しているサウンドをチェックしよう!
エフェクトチェインの順番を最適化
コンプレッサーの効果は、エフェクトチェイン(例:ギター→コンプ→ディストーション→アンプ)の順番で大きく変わります。ライブでのおすすめ配置:
基本順序:コンプ→ディストーション→モジュレーション(コーラスなど)→リバーブ/ディレイ。
コンプを最初に置くと、ピッキングのバラつきを整え、ディストーションに均一な信号を送る。
ディストーションの後にコンプを置く場合、サステインや音抜けを強調(例:ソロ用)。
NG例:リバーブやディレイの後にコンポレッサーを置くと、リバーブの尾が不自然に強調される。
おわりに:今日から試せるコンプレッサーの第一歩
コンプレッサーは音のダイナミクスを整え、ギターの音量を均一にするツールです。クリーンギターを滑らかにし、ソロのサステインを強化し、ライブでは音抜けを向上させます。
主要パラメーター(Threshold、Ratio、Attack、Release、Gain)を理解し、適切に設定することでプロ並みのサウンドが実現可能で、初心者でも簡単な設定から試せます。
コンプレッションの定義
コンプレッサーは、音のダイナミクスを抑え、ミックスをまとまりよくする効果です。ライブや録音で広く使われ、音量のバラつきを減らし、聴きやすくします。例えば、「ヤッホー!」の音量を均一にする具体例が挙げられています。
パラメーターまとめ
-
Threshold
圧縮開始の音量レベルを設定。 -
Ratio
圧縮の強さを決める比率(例:2:1)。 -
Attack
圧縮開始までの時間、遅いと原音が残りやすい。 -
Release
圧縮終了までの時間、長すぎると次の音に影響。 -
Gain
圧縮で失われた音量を補う調整。
初心者でも簡単な設定から試せ、すぐに効果を実感できます。さあ、今日からコンプレッサーであなたのギターサウンドを次のレベルへ!